僕にとって、母は全てだった。

オビ=ワンと共にタトゥイーンを離れてからも、片時として忘れたことはなかった。

パルパティーンは――皇帝は――ダース・シディアスは――マスターは
僕を暗黒面へと誘うため、パドメの死の運命を退けることをエサにした。

方法を聞きだすうち、この胸にわいたものは、他でもない母の死を退けることだった。

死してなおフォースとして漂えるのなら、死せる存在とフォースを通じて語り合えるのなら
死すら死ぬであろう永劫の果て、いつしか母ともう一度めぐり合うことも可能なのではないか。

暗黒面に堕ちるのはすみやかだった。
なぜなら、僕が壊れたのは――

師であり、友であり、兄であり、父であるマスター、オビ=ワンを斬ったときでも
愛しあった女であり、妻であり――生まれる子の母であるパドメを斬ったときでも
聖堂に住まい、恐怖に怯え、この身を頼り、すがる幾人もの子供を斬ったときでも
パルパティーンを追い詰め、今にも殺さんとするメイス・ウィンドゥを斬ったときでも――
母を捕らえ、死に至らしめたタスケン・レイダーどもを一人残らず皆殺しにしたときでもない。

目の前で、愛する母が息絶えたその瞬間。
全てが終わっていたのだ。

力も、不死も、正義も、悪も。
自分の正しさはおろか、命すら惜しいとは思わなかった。母ともう一度会えるのなら……それで。

だが、暗黒面の誘いはそれほど容易いものではなかった。

例えそれが無数の人々を不幸にしようと、己が信じる目的を追求するため鉄になると決めたこの心でさえ
幾年もの月日を、狂気のままに殺しつづけるにつれ――磨耗することは避けられなかったのだ。

数年の時がたった。

この身にたぎるフォースならば、もはやシディアス卿など物の数ではない。
ヨーダを、クワイ=ガンを、オビ=ワンを、メイス・ウィンドゥを、全て含めたジェダイマスター達であろうと
今の自分ならばひけをとることはない。

宇宙万物の生殺与奪の権利は、全て自分にあるとすら考えた。
それは、結果的な生死の支配と言ってしまってもよい。
いつしか、歪んだ悲願は、そうして果たされた。

クーデターを起こす必要はない。
シディアス卿を斬る、ただそれだけで皇帝の座は自分のものになる。

皇帝の前へと赴き、紅いライトセイバーを取り出した。
しかしてその目に映ったのは――
パドメの面影を、自分の面影を――否、母の面影を残す少女の姿だった。

動揺し、その少女が生き残っていたパドメの忘れ形見と気づいたとき
自分の両腕の肘から先は、消失していた。

叫び声を上げることすらできない。
何故ならその少女の隣にいる少年は――自分――

シディアス卿のライトセイバーは、腕を切り落とし、返す刃で僕の首を落とした。
それでも視線は少年から離すことができない。

少年のその唇が動く。

「――ルーク――」

消えゆく思考の中、幽かにだけ残る視界、その端に――

「――ルーク・スカイウォーカー」


目蓋の裏に焼きついた、あの日の星の輝やきは蒼。
焦げ付く手に焼きついた、この胸の堕星の輝きは紅。

ただそれだけが、磨耗しようとも色あせぬ輝き。





唐突ですが、好きなものを一つ選んでください。


1・「お兄ちゃん」と呼んでくれる義理妹のロシアンロリータブルマ。

2・泣きボクロがセクスィーな姐さん。でも心は13歳。

3・ワカメ。

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