ボンドはサーヴァントとしてのスキルでRC-P90を出し、私に二つ渡して、自身も二つ持った。
一発一発が、常人なら当たった箇所が弾け、消し飛ぶほどの威力を持った機関銃計四挺による一斉射撃。
サーヴァントといえど、宝具による防御手段を持たなければ、真っ向に受け止めることは不可能なほどの破壊力――!

私とボンドは、一斉に四挺の引き金を引いた。
秒間数十発の弾が敵サーヴァントとそのマスターを狙う。
しかして敵サーヴァントは、白い少女を脇に抱え駆け始めた。
私とボンドをして反動を押さえるのにもてこずる二挺機関銃のため、正確な狙いをつけられはしないものの
無数に放たれる弾丸のうち、その何発かは確実に、走る黒衣の男に命中する軌道である。
だがその弾丸は、走りながらも弾を避ける男の機敏な動きや、はためく黒いコートの合間に消えてゆき、ついぞ命中しない。

標的を追う私達の銃口が、男に合いはじめたころ
彼はさきほど照明のように使われた電灯を、またも重力を無視するかのように垂直に駆け上がっていた。
左右から上下の変化に対応しきれない弾幕の間隙をぬって、電灯の頂点まで上りきった男と少女は、宙返りするように闇夜に舞った。

黒くはためくコートが、空中で男と少女の体を覆い隠す。追いついた銃口がコートを蜂の巣にする。
だがすでにそのとき、重力に従って、両手に短機関銃であるUZI-SMGをこちらに構えた男がコートの下方へと、逆さに落ち始めていた。

弾丸を避けることまで考慮に入っているこの超高速戦では、銃口が相手に向いているか否かが決定的な差異となる。
はためくコートに銃口を向けていた私達は、男の銃が火を噴くより早く男に発砲することができない。
すばやくRC-P90を手放した私を、ボンドが横へと押し倒す。
転がるようにして移動すると、その軌道を追って確認するように、男の短機関銃から弾丸が放たれる。

転がり、そのままの勢いで跳ね上がり駆ける私達を、今度は男の銃弾が襲う。
脚力を強化している私は、さきほどの男と同じように駆けながら弾丸をかわすことができた。
私達の四挺拳銃とは違い、男の持つ銃が二挺だったこともある。
しかし、とっさに私を押し倒したため大きく体勢を崩しているボンドは、腹部に数発被弾した。
それでも構わず走り抜けるが、このままでは防戦一方、撃ち殺される――――

しかしその連射はそう長く続かなかった、いまや唯一原型をとどめる公園の遊具である砂場へと着地した黒衣の男が
空から落ちてきた白い少女を受け止めるために、撃つのをやめたのだ。

ただの拳銃とはいえ、弾丸を真っ向から受け止めるほどの魔術を行使していた少女が
たかが空中からの落下にサーヴァントの手を借りているのを見て
さきほど蜂の巣にしたコートの中に、男も少女もいなかった理由が解った。
おそらく男は、はためく黒いコートの中で、銃口を向けていた私達の目にも留まらぬほどの速度で、少女を思い切り高く投げ上げたのだろう
その反動で男は下方に加速したため、予測していたより早く下に落ち、私達の銃口から身をそらし反撃をするに至ったのだ。

銃を捨て、両手で少女を抱きとめるその黒白は、例えようもなく劇的で、まさに映画の1シーンのようだった、が――
――これは、こちらにとって決定的なまでの勝機。

倒れこみ、被弾に顔をしかめるボンドの横で私は――



1・再び、敵サーヴァントへと接近戦を挑んだ。

2・ボンドから更に大口径の銃器を受け取り、敵マスターとサーヴァントに向けてぶっ放した。

3・攻撃はボンドに任せ、近くに転がるフラガラックのバッグを手にすることを選んだ。

 戻る